あらすじ
■ あらすじ(出版用)
主人公は、ごく普通の高校生。毎朝同じ時間に起き、同じように学校へ行き、同じ日常を繰り返している。何も問題はない――はずだった。
ある朝、鏡に映る自分の動きが、ほんの一瞬だけ遅れているように感じる。それは気のせいだと片づけるが、教室での会話や食事の感覚にも、わずかな“ズレ”が現れ始める。やがてその違和感は、現実と自分との距離を静かに広げていく。
帰り道の駅のホーム。電車が近づく中、主人公は無意識のまま一歩前へ踏み出し、目の前の人物に触れる。――次の瞬間、何かが起きたはずなのに、世界は何事もなかったかのように元に戻っていた。周囲の人間も、現実も、すべては“問題ない”まま進み続ける。
だが、その日を境に、主人公の中の違和感は確かなものへと変わっていく。鏡の中の自分はわずかに遅れ、身体の感覚は自分のものではなくなり、現実そのものが少しずつ歪み始める。
それでも彼は繰り返す。
――問題ない。
本当に何も起きていないのか。
それとも、気づいていないだけなのか。
日常の中に潜む、静かな崩壊を描いた心理サスペンス。