あらすじ
中学二年生の秋。
陶芸を趣味としている「私」は、フリーマーケットに自分の作った物を出品していた。そのどれもが作品に満たない『失敗作』ばかり。
そんなことは私自身でも良く解っていた。
そろそろ店じまいをしようという頃、私の出店にある一人の青年が訪れた。
私のクラスメイトでもあり人気者で、何処か謎めいている「彼」。
彼は私の出品を見て、
「五百円だよね。この子貰っていいかい?」
そう言って彼は、私の作ったあるひとつの失敗作を買って店を後にした。
次の日、私は学校で彼に話しかけられる。
話していると、どうにも話が嚙み合わない。
そして、彼がその失敗作を『恋人』として迎え入れたことを知る。
そんな彼の手にはその失敗作のせいでできた傷痕があった。
完璧であるはずの彼が失敗作を愛しているということを認めたくなかった私は、彼の価値観を正そうと、ただ完璧な作品を求めて陶芸にのめり込む。
しかし、どれだけ腕を磨いても、彼の心があの失敗作から変わることはなかった。
そんな私は大学でも陶芸を続けていた。
彼のこと、そして自分の感情を理解しないままに。
そしてある日、陶芸の先生から問いかけられる。
「陶芸家になりたいんじゃないの?」
そんな先生の問いかけに上手く答えることができない私。
そんな中、彼に対する恋情を自覚する。
『拝啓 未熟者の私へ
私はもう先が長くないのでしょう。一つ、私はあなたに問いかけます。『価値』とは
何でしょうか。』
これは今の私が送る、届くことのないあなたへの手紙。
注意
・この作品は犯罪、闇バイト、自殺行為などを推奨、容認するものではありません。
・一部、流血描写が含まれます。
・対物性愛、同性愛(BL)の要素が含まれます。
・カクヨムのみにて掲載しています。
・第33回電撃小説大賞応募作品です。