あらすじ
自分の「経験・記憶」がお金になる世界。
最初は誰もが成功体験や、セレブな生活を楽しめると思っていました。
でも、高く売れるのは「楽しい思い出」じゃありません。
新人の研修に使える「過酷な労働」や、事故を防ぐための「死ぬ瞬間の恐怖」……。
そんな、誰かの『地獄』こそが、この世界では価値のある資源です。
私のお仕事は、そんな誰かの最悪な記憶を、朝から晩までチェック(査定)すること。
恋人と別れた悲しみも、仕事でボロボロになった絶望も、
「他人には使いにくいから」と、どんどん買い叩かれていく。
逆に、会社が社員を「壊れないギリギリまで働かせる」ために、他人の疲労をインストールする。
感情がただの「データ」になったとき、人間はどこまで人間でいられるのだろう?
ある日、私の元に届いたのは「中身が何もない記憶」でした。
それが市場で「最高値」をつけたとき、この社会の本当の気味悪さが動き出します。