あらすじ
「俺の一年分のアウター代を返してくれ!」
コロナ禍で閉塞した日常の中
一本早い電車に乗る理由ができた。
駅ですれ違う「マスク美人の彼女」だ。
彼女に気づかれたい一心で、私は手持ちの
アウターをフル回転させる「カメレオン作戦」を決行し
一年間の秘密のときめきを楽しんだ。
しかし、マスクが外れたその朝、私のすべては崩れ去った。
――マスクという魔法が解けた時、そこにいたのは
脳内で作り上げた「理想の美女」とはあまりにも違う現実だった。
これは、60代の嘱託社員である私が、コロナ禍という
特殊な時代に踊らされ、クローゼットをカラフルな服で
埋め尽くしてしまった、愛おしくも滑稽な「空回り」の記録。
喉元過ぎても熱さを忘れられない
懲りないおじさんの小さな青春の断片を
ぜひ笑ってやってください。