あらすじ
獣人たちが暮らす世界で、獣の耳や尻尾、そして毛並みを持たない純粋なヒトは全人口の二パーセントしか存在しない希少種となっていた。
大学で文化獣人学を教えている北倉結は、十三歳のころ両親に捨てられ、幼なじみ家族に育てられてきた。
両親の冷え切った夫婦関係を見て育ったため、三十五歳になった現在も恋愛感情を抱くことができずにいる。
そんな結は、セフレでもあり幼なじみでもあるネコ科の獣人の三つ子からセフレを解消されたことをきっかけに、マッチングアプリを使い始める。
初めてマッチングした相手との待ち合わせ場所に向かうと、そこに現れたのは濃い灰色の毛並みにアイスブルーの瞳を持ったオオカミの獣人だった。
結は彼と意気投合しラブホテルに向かったところ、部屋に入るなり手錠をかけられてしまう。実は男は警察庁所属の特別捜査官だったのだ。
高峰ジ瑛と名乗ったその男は、ヒトが絡んだ売春事件を追って潜入捜査をしていた。
希少種のヒトであるがゆえに犯人と間違えられた結は、大学で教えている文化獣人学の知識を使い、犯人の本当の思惑と、犯人が本物のヒトではないことを見抜く。
結の助言のおかげで高峰は真犯人を逮捕することができた。
その後、結はホテルの喫茶室で女性とお見合いをしている高峰を目撃する。彼がゲイであることを隠していると気付き、お見合いが破談になるように助け舟を出す。
結に二度助けられた高峰は、幼なじみたちの前で恋人を演じると約束した。
お互いのことを知るためのデートで、意外な接点を見つけた二人は互いに惹かれ合っていく。
しかし、そのタイミングで高峰は再び潜入捜査をすることになってしまう。
彼は「捜査から戻ったら本気で口説く」と言い残して結の前から姿を消した。
季節は春から夏になり、結は自分の研究テーマである神像の論文を書くために神像修復師の小川を訪ねた。彼が所有する珍しい神像に夢中になっていた結は薬で眠らされ、監禁されてしまう。
結を助けに現れたのは潜入捜査中のはずの高峰だった。結の幼なじみの父親から結が帰って来ないことを知らされ、助けに来てくれたのだ。
高峰への恋を自覚し始めた結の前に、高峰の元恋人で人気俳優である岩山が現れる。高峰への未練を隠そうとしない彼に嫉妬して、高峰とケンカになってしまう。
嫉妬したことで高峰への恋心を確信し、結を追ってきてくれた高峰と晴れて恋人同士に。
高峰は家族にゲイであることをカミングアウトしていなかったのだが、結を家族に紹介することを決意する。
一方で結は論文が有名な学術誌に掲載されたことで、ずっと欲しかった自分だけの家を手に入れる。
そのことを通じて二人は、お互いが自分の居場所を求めていたこと、それが今はお互いの隣であることを確信する。
高峰の実家を訪ねた夜、実は結は挿入を伴うセックスを知らないことが判明する。高峰により体を開かれた結は、彼への愛情がさらに深まるのを感じながら彼に身を委ねた。