あらすじ

妹の死をきっかけにピアノの世界から姿を消した元天才ピアニスト・中峰卓斗はある日、音楽室を毎日の如く絵具で汚す犯人、花本紗友莉と出逢う。奇妙なことに紗友莉は描画に藍色しか使わず、藍色は己の全ての感情が混ざりあった色だからと言う。そんな紗友莉には、残り少ない自身の人生全てを象徴する『命の絵』を描く夢があった。狂気的なまでに絵を愛す紗友莉の中に卓斗は嘗ての自分を見つけ、段々と紗友莉に惹かれて行く。これは狂気と苦悩に満ちた、二人だけの物語。翌日、卓斗は紗友莉に余生の同行者兼彼氏に任命される。卓斗だけだった音楽室は紗友莉のアトリエとなり、紗友莉に博物館デートに誘われる卓斗。そこで紗友莉の絵への情熱と、『命の絵』を描こうとする理由を知る。商店街の福引で当てた温泉旅行チケットを使い、二人は温泉に行く。紗友莉の天真爛漫さに卓斗の心は次第に溶かされ、卓斗は秘め続けてきた妹の死を紗友莉に打ち明ける。ある日、紗友莉の家で日記を見つけた卓斗。そこには余命が一年もないことが記してあった。隠し事に怒った卓斗は紗友莉を責め立てるが、一緒に居てほしいという願いに頷く。紗友莉と共に児童館で紙芝居をすることになった卓斗は、直前でピアノでの伴奏を頼まれる。妹の死を盾にする卓斗に対し、紗友莉はそれを一蹴し、持ち前の狂気でピアニストとしての卓斗を目覚めさせる。紗友莉の持病は悪化の一歩を辿り、その事実を聞かされた卓斗は仲たがいを起こすが、友人の言葉に気付かされる。今度は卓斗から紗友莉をデートに誘い、紗友莉の現状を変えようと言葉を掛ける。それに救われた紗友莉は、真夜中の学校に卓斗と一緒に向かい『命の絵』を描き終えるが、迫りくる死への恐怖は去ってはいなかった。その恐怖を取り払い、生きる希望を注ぐと宣言し、卓斗は数年ぶりにコンクールの舞台に出る。卓斗は旅立った紗友莉から中学校の卒業式の日に『命の絵』と一緒に手紙を受け取る。

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カクヨム
カクヨム2026/03/31
  • 現在の作品藍色に、春風が吹く