あらすじ

旅人は、名も知らぬ街にたどり着いた。 石畳は古び、家々の窓はどこかよそよそしく閉ざされている。人の気配はあるのに、視線だけがひどく遠い。まるで、この街そのものが何かを隠しているようだった。 宿に入ると、主人は彼の顔を見るなり、声を潜めて言った。 「森には近づくな」 それだけだった。 理由を尋ねても、返ってくるのは曖昧な沈黙ばかりだ。ただ一つ、酒場で耳にした噂だけが、妙に鮮明に残った。 ——森の奥には、“蛇の少女”がいる。 それは呪いだとも、守り神だとも言われていた。姿を見た者は戻らない、とも。 旅人は笑った。 噂など、どの街にもある。だが、あの街の沈黙は、ただの迷信では説明がつかなかった。 夜が明ける前、彼は街を出た。 霧の立ちこめる森の奥へと、足を踏み入れる。 何かに導かれるように。 そしてそれが、引き返せない選択だということを、まだ知らなかった。

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小説を読もう2026/03/31
  • 現在の作品盲目の蛇女は始まらない