あらすじ
「あらあ、あなた……」
「え?」
「かわいい顔してるわねえ……ねえ、神様に興味ある?」
「あ、僕そういうの大丈夫なんで。洗脳とか効きませんから」
「せ、洗脳? うふふ、違うの。そうじゃないの。あのね、私たちの活動は――」
「神様なら僕についてますから。じゃ、さよなら」
昼下がり。駅前の歩道は、主婦や学生、スーツ姿のサラリーマンがゆるやかに行き交い、どこか気の抜けた空気が漂っていた。そんな流れの中、おれはどこかの宗教団体らしいおばさんに呼び止められた。
おれは軽くいなして、再び歩き始めた。神様なら僕についている――そう言い切ったときのおばさんのきょとんとした顔には、思わず吹き出しそうになった。
ちらりと振り返ると、おばさんはもう別の通行人へ向き直り、慣れた手つきでビラを差し出していた。
きっと、ただの厨二病とでも思っただろう。でも違う。これは中学生によくありがちな根拠のない全能感からくる自信とは別物だ。