あらすじ
パワハラ、モラハラに耐えられなかった私
最初は、ただのため息だった
ほんの少しの違和感
言葉の端に混ざる棘
でも私は、それを拾わなかった
「気のせいだよ」
そう言われる前に
自分でそう思うことにした
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いつからだろう
私の言葉が
私のものじゃなくなったのは
「普通はこうだよ」
その“普通”に合わせて
私は少しずつ削られていった
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正しさの形をした刃は
とてもきれいで
だから、気づきにくい
「君のために言ってる」
その言葉に
私は何度も頷いた
本当は、痛かったのに
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気づけば
笑う回数より
謝る回数の方が多くなっていた
鏡の中の私は
どこか遠くて
名前を呼ばれても、少し遅れて振り向いた
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「お前には価値がない」
その一言は
驚くほど静かに落ちてきて
でも、すべてを壊した
音はしなかった
けれど確かに
何かが折れた
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それでも私は
すぐには立てなかった
長い間
その言葉の中で
しゃがみ込んでいたから
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でも、ある日
ほんの小さな違和感が
ひびのように広がった
「おかしい」
その一言が
やっと私の中から出てきた
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震える声で
初めて言った
「それは違います」
世界は、何も変わらなかった
でも、私が少し変わった
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逃げた、と言われてもいい
負けた、と言われてもいい
あの場所に残るより
ずっと正しい選択だったから
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今
私は、静かな部屋で息をしている
誰にも否定されない空気は
こんなにも軽かったのかと
少しだけ驚いている
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まだ、完全には戻らない
でもいい
私は今
もう一度、自分の声を探している
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耐えられなかった私じゃない
私はただ
壊れる前に
自分を守っただけだ
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そしてそれは
弱さじゃなくて
確かに
生きる強さだった