あらすじ
「この檻を脱走して、二人だけの夏へ」
六月の雨は、すべてを灰色に塗り潰していく。
成績、進路、親の期待。
優等生という名の「檻」の中にいた天野琉奈(あまのるな)の前に現れたのは、傘も差さずに笑う転校生、海野めるだった。
自由奔放で、どこか壊れた時計のように危うい彼女。
「奇跡ってさ、起きてから気づくから奇跡なんだよ」
めるに手を引かれ、琉奈は初めて「正しいレール」を外れて走り出す。
しかし、眩しすぎる七月の光の裏側で、めるの身体は少しずつ、夏の陽炎に溶けるように透け始めていた――。
一瞬の夏を永遠に変えようとした、二人の少女の物語。