あらすじ
勇者なのに、戦わない。
剣と魔法の世界に召喚された俺――天城 恒一は、魔物を前にしても剣を抜かなかった。
代わりにするのは、たった一つ。
「それは、本当にあなたの課題なのか?」
前世は心理カウンセラー。
この世界では、人の“認知”が歪むことで、争いや魔物さえ生まれる。
だから俺は戦わない。
敵を倒すんじゃない。問題の“見方”を変える。
……だが当然、そんなやり方は受け入れられるはずもなかった。
勝利至上主義の女剣士には反発され、
人を拒絶する魔法使いには距離を置かれ、
誰かのために自分を削る僧侶は壊れていく。
やがてパーティは崩壊。
俺は王国から「役立たず」として追放される。
それでも――人は変われる。
流れ着いた村で、住民同士の対立が“魔物”として現れたとき、俺は確信する。
魔王とは、人の弱さが積み重なった存在なのだと。
救うとは何か。
助けるとは何か。
誰の課題を、誰が背負うのか。
これは、戦わずに世界を救おうとする勇者の物語。
そして――人が「変わる」瞬間を描く物語。