あらすじ
魔物が跋扈するこの世界において、討伐依頼の審査を担う「審査官」は、依頼者と討伐者の命を繋ぐ重要な役職だ。
見習い審査官のバドが仕える上司、ルナリス=ラ=サクレーシアは、史上最年少で審査官試験に合格した優秀な人物だ。しかし彼女の日常といえば、昼まで熟睡し、ネグリジェのまま出勤し、ポケットにはビスケットを突っ込んでいるという、到底「審査官」のイメージにはほど遠いもの。バドが胸に刻んだ審査官の理想像と、目の前のルナリスは、どうしても重ならないのだった。
そんなある日、魔物を討伐する『認可討伐者』の詰所にある依頼書を張り出す掲示板に異様な依頼が貼り出されているのをルナリスが発見する。
「黒竜の討伐と少女の保護。危険度:S。報奨金:五百万エルド」
――竜は、聖典にも記された最凶の魔物だ。しかもなぜ、その傍らに少女が生きているのか。
ルナリスは、その依頼書を剥がし宣言する。
「この依頼書に、『異議申し立て』をするわ」
怠惰な審査官と、真面目な見習いの凸凹コンビが、審査官の矜持を胸に竜の待つ森の奥へと踏み出す。