あらすじ
アーサー・シド・エインズワースはぬいぐるみが大好きだった。
優しい両親や二人の兄の愛を一身に受け、アーサーは五歳に成長する。
この世界では、五歳は特別な意味を持つ。それは、一人に一つだけの『魂の魔法』を神から賜るからだ。
教会で大勢の貴族の子どもたちと『魂の魔法』を賜る儀式に挑むアーサー。
ある者は土を操る魔法を、またある者は炎を操る魔法を賜っていく。どれも強力な魔法ばかりだ。
そして訪れたアーサーの番。
アーサーが賜った『魂の魔法』は、透明な糸を出すだけの魔法だった。攻撃力は皆無だし、透明な糸では服も作ることもできない。
アーサーは王城に戻ってからは家族にも会わずに自分の部屋に閉じこもってしまう。
そんな彼を慰めてくれるのは、部屋の中にこれでもかと集められたぬいぐるみたちだった。
アーサーはいつものようにぬいぐるみにいかに自分が惨めな思いをしたかを語る。
しかしそんな時、犬のぬいぐるみの耳が取れかけているのを見つけた。
透明な糸なら、直した時に不自然にはならないのではないだろうか?
そう思ったアーサーは、透明な糸を操って犬の耳を縫い付ける。
すると、犬のぬいぐるみが突然動き出した!
まるで本物の犬のようにアーサーにじゃれつく犬のぬいぐるみ。
そんなアーサーの部屋には、大きなドラゴンのぬいぐるみもあり……。
これは、アーサーの魔法を巡って陰謀を巡らす大人たちと、それをあっさり喰い破るアーサーの物語である。