あらすじ
19歳の美貌を誇る伯爵令嬢エレナ・パブロヴナ・ロマノヴァは、40歳の侯爵イゴール・セルゲイヴィチ・ボリソフとの政略婚約に苦しめられていた。
侯爵の貪欲で粘つくような積極的なアプローチは、彼女に不快と恐怖のみを植え付け、黄金の檻のような宮廷生活をさらに重苦しいものにしていた。
そんなある舞踏会の夜、22歳の若き公爵ドミトリー・イヴァノヴィチ・ヴォロノフが、銀色の影のように現れる。
「君にはあんな男より俺の方がふさわしい。俺の女になれ」――その一言とともに、公爵は婚約を破棄させ、侯爵を宮廷から追いやるほどの影響力を発揮する。
侯爵の過去の不正と前妻たちを巡る暗い噂が暴かれ、屈辱の底に沈むざまぁを、エレナは静かに、しかし心の奥底で甘く味わう。
公爵の温かく力強い抱擁と、月光の下で交わされる約束は、エレナの心に新たな情熱を灯す。
家族の財政難を救う支援を申し出、毎日訪れる公爵の恋人として、エレナは19歳の純粋さと女性としての目覚めを静かに育んでいく。
しかし、遠くの領地で牙を研ぐ侯爵の報復の影は、決して消え去ってはいない。
中世の貴族社会を舞台に、恐怖から解放された恋の甘美さと、権力の渦中に生まれるシリアスな葛藤を描いた大河恋愛長編。
婚約破棄の瞬間から始まる、運命の恋と復讐の予感。