あらすじ

江戸時代の終わりごろ、遠山影元が南町奉行をしていた頃の話だった。下手人の見当すらつかない人殺し事件が立て続きに起きた。ただ不思議なことに殺害されたのはすべて脛に傷のある前科持ちばかりだった。  遠山奉行の配下に同心中村清之介がいた。彼には弟・真之亮がいた。父親が亡くなって清之介が家督を継ぐと、真之亮は家を出て柳原土手の古手屋「丸新」の居候になっていた。「丸新」の旦那はかつて父親の手先をしていた茂助という男だった。  茂助は真之亮が遠山奉行から「隠密同心」を任じられたことから、不可解な殺人事件に乗り出すことにした。店があるため探索をするのは真之亮の役目だが、真之亮の「手先」として元掏摸の「銀太」を付けた。  それ以後も何件かの前科持ちが殺される事件が起きる。その探索の途上、事件とかかわりのある人物として、掏摸仲間だったお蝶が浮上してきた。もちろん掏摸は「仏の顔も三度まで」の諺の通り、三度までは捕縛されてもそれほど酷い罰は受けないが、捕縛が四回目になると土壇場に据えられて首を刎ねられる。だから掏摸は三十過ぎまで長生きできないと云われている。  江戸町奉行は南北にあって、北町奉行所と南町奉行所が一月毎に交替して江戸の治安を司っている。どうやら殺された前科者はすべて北町奉行所でお調べを受けた者たちだ。そこに気付いた真之亮は兄に北町奉行の同心仲間と連絡を取って、殺された前科者の調書を調べるように依頼する。  そして殺人事件に北町奉行所の関係者が関与しているのではないかと疑いを持つ。しかし何のためにそうした細工をしなければならないのかと考え、考察を重ねる。

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カクヨム
カクヨム2026/03/30
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