あらすじ
目覚めた瞬間、彼は自分の名前すら忘れていた。
焼け焦げた車、路上を埋め尽くす死体、曇り空に覆われた崩壊都市。
残されていたのは、汚れひとつないスーツ姿と、手に馴染みすぎる一丁の拳銃だけ。
やがて彼は、赤い目を持つ少女・メルヴェーンと出会う。
この世界では、謎の感染症“シャック”によって、人も獣も理性を失い、夜の街をさまようという。
生き残るためには、撃たなければならない。疑わなければならない。信じすぎても、死ぬ。
それでも彼は、どこか壊れたまま優しく、どこまでも不器用に、この終末を進んでいく。
失った記憶の先にあるのは、救いか、罪か。
そして、崩壊した世界の奥で待つ“自分の過去”とは――。
これは、死にきれない者たちが、生きる理由を拾い直していく終末譚。