あらすじ
本作は視点の移り変わりが激しくなっております。
2014年、5月。田舎町から夢を抱いて上京した東條唯斗は、不動産屋の冷徹な店員(佐藤)に導かれ、格安の2LDKメゾン・神州302号室を契約する。
【都市のパルスを拒絶してはならない】
という奇妙な特約に印を押したとき、彼の運命の歯車は狂い始めた。
所持金はわずか498円。空腹と絶望の淵で、古いガラケーの画面に浮かび上がったのは、不自然なほど高額な求人広告だった。
『特別保全清掃員:日給2万円。夜間の簡単な清掃およびパルスチェック』
導かれるままに向かった役所の地下、そこで出会った無機質な監督官(新田)と、青年(カイ)。
彼らが清掃と呼ぶものの正体は、都会の片隅で打ち捨てられ、成れの果ての回収作業だった。
重く冷たい肉塊を背負い、青白い炎が踊る焼却炉へ。
2万円の重みと死臭が染み付いた手で、東條は神州都での第一歩を踏み出す。
それは、彼が自ら契約した302号室という深淵へ至る、長く狂った夜の始まりに過ぎなかった。