あらすじ
かつて愛した物語の世界に転生したシスター・ミクには、逃れられぬ絶望の未来が待っていた。シナリオ通りに進めば、彼女は偽りの勇者イライアスに利用され、魔王討伐の最中に裏切られて殺される運命にある。
前世でも知人に裏切られ、コンクリート詰めにされて海に沈んだトラウマを持つミクは、今世こそ「生き残ること」を誓う。彼女が取った手段は、物語の正史を歪め、少年レニを、「真の勇者」として覚醒させること。
孤独で荒んでいたレニに対し、ミクは「信じることは呪い、痛みだけが絆」という歪んだ価値観を共有しながらも、献身的に彼を世話し、二人は奇妙な共依存関係を築いていく。
旅の途上、一行の前に「死神メロン」と名乗る少女が現れる。彼女は、ミクが死ぬはずだった「改竄前の未来」で、イライアスのために聖剣を打ち、家族に裏切られて処刑された鍛冶屋の転生体だった。未来で自分を唯一救おうとしてくれたミクに恩を返すため、メロンは死神大王から力を授かり、歴史を修正すべく参戦する。
一行は、イライアスが潜むという未踏破のダンジョンへ足を踏み入れる。道中、ミクはかつて自分を陥れた先輩シスターや、レニに執着する幼馴染のラミナ、そしてかつて自分に呪いをかけた呪術師ロゼンと再会する。レニはミクを傷つけた者たちを「夫」として容赦なく粉砕し、ミクもまた、彼らの悪意を跳ね返すことで過去のトラウマを乗り越えていく。
ダンジョン最深部で待ち構えていたのは、自ら魔族へと成り果て、復讐に狂うイライアスだった。彼はミクが歴史を変えたことで「持たざる者」へと転落した怨嗟をぶつけ、圧倒的な力でレニを窮地に追い込む。
しかし、レニはミクとの絆を通じ、「裏切られても、また信じればいい」という真の強さに目覚める。ダンジョンの伝説から大いなる光を授かったレニは、イライアスの聖剣を粉砕する。敗北を認めぬイライアスが放った最後の一撃がミクを貫くが、ミクは死の淵でレニへの信頼を叫び、レニはその怒りでイライアスを完全に討ち果たした。
事件後、イライアスたちは捕縛され、ミクは一命を取り留める。後日、ミクはレニを自分を裏切った象徴である「海」へと連れ出し、全ての真実を告白する。自分が生き残るためにレニの運命を狂わせ、利用したという罪の告白。
しかしレニは、利用してくれて良かったと笑い飛ばし、ミクが生きることを諦めなかったからこそ自分も救われたのだと、彼女を強く抱きしめる。「信じることは救いか、呪いか」――その問いに対し、二人は「痛みさえも絆に変えて、共に生きること」を誓い合う。海の底に沈んでいたミクの心は、レニという光によって、ついに本当の息を吹き返したのだった。