あらすじ
脱サラして写真家を目指した 藤崎直哉 は、夢を追った末に生活が立ち行かなくなり、ついに大切なカメラを手放す決意をする。だが売りに行く途中、「最後に一枚だけ撮ろう」と思い立ち、かつて初めての恋人・美月と訪れた西伊豆へ向かう。
学生時代、彼女に「写真家になるんでしょ」と背中を押された記憶と、「好きなものまで嫌いにならないでね」という別れ際の言葉が、直哉の中でよみがえる。西伊豆の変わらぬ海を前にシャッターを切り続けるうち、彼は自分がまだ写真を心から愛していることに気づき、涙が止まらなくなる。
夕焼けの中で撮った“最後の一枚”は、過去と現在をつなぐ象徴となる。直哉はカメラを売るのをやめ、成功や評価ではなく「好きでい続けること」を選び、もう一度写真と共に歩き出す決意をする。
――遠回りの果てに見つけたのは、失ってもなお残る「本当に大切なもの」だった。