あらすじ
16世紀半ば、日本・平戸で1人の老人が息を引き取る。宣教師が遺品の中から見出したのは、イタリアルネサンスの巨匠であるミケランジェロのサインが入った1枚の肖像画。描かれていたのはフィレンツェの名家の姫ベアトリーチェだった。なぜこの絵が遥か東方の日本にあるのかーー物語は過去へ遡る。
フィレンツェで、東方ジパングから旅して来た青年・倭文(しず)と出会ったベアトリーチェは、身分も国も越えた恋に目覚める。しかしその関係はヴェネツィアとの政略結婚を巡るメディチ家の思惑とベアトリーチェに禁断の想いを寄せる兄ジョヴァンニの執着、その彼に歪んだ愛を抱く異母姉のマリーアの陰謀によって引き裂かれていく。
遂に出奔したベアトリーチェと倭文は追われる旅の果て、永遠の別れを選ぶ。やがて倭文に託されたベアトリーチェの肖像画だけが、叶わなかった愛の証しとして時を越えて残されるのだった。