あらすじ
芸能事務所のマネージャー・園田は、社長命令で昭和七年築の小劇場「朝霧座」の改修に携わることになる。配信スタジオへの全面転用。こけら落としは若手俳優の単独ライブ。
地元の保存会が残した三つの要望——神棚を維持すること、舞台を敬って使うこと、深夜零時以降は活動を控えること——は、ひとつずつ踏み破られていった。
園田が異を唱えるたび、社長の目は冷たくなる。「あなたの代わりはいくらでもいるの」
事務所を追われた園田のもとに、元同僚からメッセージが届く。工事業者の相次ぐ撤退。俳優の変調。そして——乾いた拍子木の音。
芝居の幕を開ける、あの音。
千秋楽は、まだ終わっていない。