あらすじ
北千住の区役所に、転入届が出せない男が来た。
理由——転入前の住所が、この世界に存在しない。
リポビタンDに感涙するエルフ。百均の材料で神話級の武器を作るドワーフ。供物のワインを飲み干してクビになった大聖女。
戸籍もマイナンバーも持たない「台帳にない隣人」たちは、コンビニと有給とAmazonプライムを愛し、今日もこの街で静かに暮らしている。
区役所職員・木本透子は、彼らを記録し続ける。
誰にも読まれない参考資料を、No.347まで。
「登録されてないのに?」
「住んでたら住民です。それを登録するのが、私の仕事です」
彼女はまだ知らない。自分自身もまた、台帳にない存在であることを。