あらすじ
写真は、ときどき、見ようとしなかったものを写してしまう。
結婚式場の洋館で行われたフォトウェディング。休憩中、ソファに置かれていた新婦のベールが忽然と消えた。窓は閉まり、風もない。その場にいた誰も、触れていない。
フリーカメラマンの水越佳乃は、自らが撮った一枚の写真に目を留める。そこに写っていたのは、重力に逆らう布だった。
その"わずかな違和感"を、見過ごさなかった。
光が集まる場所に、確かに残っていたものの話。
水越佳乃(みずこし・かの)
25歳。フリーの芸術系カメラマン。廃墟や街の片隅など、誰も気に留めない場所を撮ることが多い。
依頼があれば婚礼撮影や、知人に連れられて報道系やゴシップ系スクープ写真の仕事も渋々受ける。
写真に写った“違和感”から事実を読み取る観察型の思考を持ち、事件に居合わせると自然と真相に辿り着いてしまう。論理よりも構図と視覚を重視するタイプで、説明は苦手だが「写真を見せれば分かるでしょ」と言い切ることも。
基本は飄々としており、少しズレた発言も多いが、被写体と向き合うときだけは異様に集中する。事件現場などに居合わせることが多いため、周囲からは半ば冗談交じりに「事件カメラマン」と呼ばれている。
レンズ越しに、真実を“記録”する観察者。