あらすじ

異世界に召喚された高校生・柏木レンは、魔力適性ランク「無色」──つまり完全なゼロ──という結果を突きつけられ、王宮を追い出された。幼馴染の瀬川ハルトが「千年に一度の逸材」として勇者に祭り上げられる中、レンは王都の片隅で皿洗いをしながら、頭を低く、波風を立てず、ひっそりと生きていた。 ある深夜、宿屋の裏口で一人の少女と出会う。名前はミア、七歳。泥だらけのボロ服、怪我をした足、そして「お腹すいた」というひと言だけを持って、たった一人でそこにいた。レンは残り物のスープを温めて差し出す。大した理由はなかった。ただ、そうしたかっただけだった。 翌朝、ミアが「聖印持ち」であることが発覚する。聖印とは神から授かる特別な紋章で、百年に一人しか生まれない加護の証。そしてその聖印を狙い、隣国アレストの精鋭部隊・黒騎士団が王都へ迫っていた。 ミアを勇者ハルトのもとへ連れていこうとしたレンは、途中の路地で黒騎士団の先兵三人に行く手を阻まれる。逃げ場のない行き止まり。魔法もない、武器もない、力もない。ミアが「逃げて」と静かに言った、その声があまりにも諦めに満ちていて──レンは両手を広げ、少女の前に立った。 「気合いがある!!」 震える声で叫んだその瞬間、ミアの聖印が金色の光を放ち、黒騎士たちを吹き飛ばした。聖印は、本当に怖いのに逃げなかった者の勇気に反応する──それが、ミアの母が遺した言葉だった。 奇跡は、強者に降りるのではない。震えながらも、前に立った人間のもとへやってくる。

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小説を読もう2026/03/29
  • 現在の作品奇跡は、叫んだあとに来る