あらすじ
春の気配が近づく通学路。それとは裏腹に、大学一年生の七桜の心はまだ冬のままだった。高校時代の楽しかった日々を失い、目的もなく流されるだけの生活。誰かに見つけてほしいと願いながらも、自分を変える勇気も持てずにいた。
そんなある日、バイト先で同い年の男の子・晴杜と出会う。何気ない会話と、帰り道のほんの少し柔らいだ世界。それは七桜の止まっていた時間を、わずかに動かすきっかけとなる。
連絡先を聞こうか迷う朝。少しだけ違って見える日常。過去の後悔や自分の弱さと向き合いながら、七桜はゆっくりと、自分の気持ちに正直になろうとする。
これは、誰かに救われる物語ではない。小さな出会いをきっかけに、自分自身を見つめ直し、「今の自分を少し好きになる」までの、静かな再生の物語。