あらすじ
人類は、すべてを失った。
帰る星も、空も、そして選ぶ自由さえも。
巨大航行船《アルシオーネ・プロメテウス・ヴォヤージュ》――通称APV。
資源を求めて宇宙へと踏み出したその航海は、取り返しのつかない過ちによって故郷を滅ぼし、人類をたった一隻の船に閉じ込めた。
歪められた遺伝子。
削られた寿命。
そして、生まれる命すら選別される世界。
人として扱われることすら許されないほど美しく作られ、すべてを奪われながらも「選びたい」と願う少年、カシオペア・ノルシュテイン。
そして船の中枢に連なる家に生まれた青年、ダミアン・モンフォールが、カシオペアの婚約者として選定される。
「生きることも死ぬことも、自分で選びたかった」
それは許されない願いだった。
一方、人類の未来を巡り、船内では二つの思想が対立していた。
星を探し続ける者たちと、星を創ろうとする者たち。
その中心に立つのは、冷徹な理想を掲げる革命家テオドール・ドゥロシエール。
愛か、革命か。
選べない世界で、それでも選ぼうとする三人の物語。
これは、失われた星の代わりに、
“未来”を選び直そうとした、人類の記録である。