あらすじ

「働いて食う飯はうまい。でも、働かないで食う飯はもっとうまい」 俺には『救済』の力がある。 競艇場で時間を止め、高配当の舟券を掠め取る。誰にも悟られず、誰にも邪魔されない、俺だけの無敵の聖域。 だが、杉の花粉が舞う春の静寂の中、背後で泡の弾けるような笑い声が響いた。 止まったはずの世界で、俺以外の人間が、動いている。 「…………最高です、神様」 黒い髪を揺らし、凍りついた世界を自由に歩くミニスカートの女。 俺の正体を知り、俺の「奇跡」を崇めるその瞳は、潤んで、爛々と輝いていた。 須崎公園の逃走、天神の爆音。 どこまで逃げても、どれほど音で世界を塗りつぶしても、彼女は俺のすぐ後ろにいた。 まるで俺の吐息の一つ一つが、彼女の耳に直接届いているかのように。 「次は、どこへ逃げる遊びをしましょうか?」 ――時間停止という「無敵」を、底知れぬ「執着」が塗りつぶす。 福岡の街を舞台に描かれる、戦慄のサイコ・ホラー。

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カクヨム
カクヨム2026/03/28
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