あらすじ
少年法に守られ、刑罰の対象とならない10歳以下の子どもたち。
彼らが辿り着くのは、外界から隔離された特別施設――「司法の塔」。
そこでは更生と観察が行われている。
しかし実態は、“裁くことのできない存在”を管理するための、歪な司法の最前線だった。
職員・岬静恵は、感情を排し子どもたちと向き合う観察者。
後輩の柴先良子は、その現実に戸惑いながらも職務に向き合っている。
ある日、静恵の前に現れた少年A。
何も信じず、どこにも属さないその少年は、一枚の“ジョーカー”を前に静かに笑った。
「これ、当たりでしょ?」
その一言は、善悪も責任も通用しない世界の歪みを浮き彫りにする。
守るための法は、果たして誰を守っているのか。
これは、裁けない罪と向き合う者たちの、静かで深い日常の記録である。