あらすじ
明石の広告会社で働く渡部小春は、瀬戸内特集の担当となり、日本標準時のまち・明石と、生まれ故郷でもある夕日で知られる愛媛の町を取材することになる。けれどその企画は、ただ美しい風景を紹介するだけでは終わらなかった。故郷を“観光地”として語ることへの違和感、父のことをめぐる母からの連絡、そして帰ろうと思えば帰れる場所ほど遠くなるという感覚。標準時の街と夕日の町、海をはさんだふたつの時間をたどりながら、小春は自分にとっての「帰る」とは何かを見つめ直していく。仕事と故郷、暮らしと言葉を静かに描く、瀬戸内の物語。