あらすじ
深夜の通学路、街灯の下でポツンと立ち尽くす少女がいた。
大きなランドセルを背負い、誰を待つともなく虚空を見つめる小柄な彼女。
大学生のトモヤは、ふとした気まぐれで彼女に声をかけた。
だが、返ってきたのは無邪気な笑顔と、この世の者とは思えない「透き通った指先」だった。
彼女の名は、佐藤ユウナ。
七年前、卒業式へと向かう途中で、暴走車に命を奪われた少女。
「……お兄ちゃん、私ね。まだ卒業式してないんだよ?」
止まったままの七年間。
届かなかった卒業証書。
トモヤは、彼女を「卒業」させるために、二人きりの夜の小学校へと忍び込む。
これは、孤独な大学生と、時を止めた幽霊少女が過ごした、数日間の温かくて切ない記録。
そして半年後。
トモヤの前に現れた、彼女と同じキーホルダーを持つ「佐藤さん」という名の女性。
その微笑みが、止まっていたトモヤの時間さえも、静かに動かし始める――。