あらすじ
彼女が微笑むたびに、王国がひとつ滅ぶ。
彼女が泣くたびに、私だけが世界になる。
感情の強さがそのまま魔力に変換される世界。
そこに、千年の孤独を生きる最強の魔女アステリアがいた。
彼女の喜びは嵐を呼び、怒りは大地を砕き、哀しみは海を枯らす。
強すぎる力ゆえに誰にも触れられず、愛されることもなかった彼女は、いつしか心を氷の城に閉じ込めた。
そんな彼女の元へ、一人の青年が派遣される。
平凡な宮廷書記官、ライオス。
彼には、世界で唯一の奇妙な特性があった。
――感情魔法の完全無効化。
彼の半径5メートル以内では、いかなる強大な魔法も消滅する。
世界を滅ぼす魔女の力も、彼の前ではただの少女の震えでしかなかった。
「……なぜ、逃げないの?」
「仕事ですから。それより、あなたの声が小さくて記録できません」
200年ぶりに届いた、普通の言葉。
200年ぶりに許された、温かな体温。
最強の魔女が、初めて子供のように泣きじゃくったその日から、二人の奇妙な共生生活が始まる。
これは、世界から災害と恐れられる魔女が、一人の青年の前でだけ「最高に可愛い女の子」に戻っていく、切なくて甘い、救済の物語。
外では無敵の大魔女。でもライオスの前では、手を繋ぐだけで顔を真っ赤にする世間知らずな少女。
200年の孤独の反動で、ライオスがいないと生きていけないほど依存していく重愛ヒロイン。
「彼にしか触れられない」「彼女を泣かせられるのは彼だけ」という、逃げ場のない二人の独占契約。