あらすじ
「不潔な女め、二度とその汚い顔を私の前に見せるな!」
聖女エルナは、建国以来の危機と言われた流行病や、王族・貴族たちの不摂生による「穢れ」をその身に肩代わりし続けてきた。その結果、かつての美貌は失われ、肌は黒ずみ、周囲からは「疫病神」と蔑まれるようになる。
ついに婚約者である第一王子ザカリーは、エルナを「お払い箱」として追放し、何一つ苦労せず美しさを保ってきた妹のリリアを新聖女に据えると宣言した。
しかし、彼らは知らなかった。エルナが去るということは、彼女がこれまで溜め込んできた膨大な「呪い」の受け皿がなくなるということを。
「承知いたしました。今までお預かりしていた『皆様の汚れ』、すべてお返しして行きますわ」
エルナが封印を解いた瞬間、王宮は阿鼻叫喚の地獄へと変貌する。
一方、すべてを返却して本来の輝きを取り戻したエルナは、隣国の「死神皇帝」ヴィンセントと出会う。強大すぎる魔力ゆえに孤独だった皇帝と、純粋すぎる聖力を持つ追放聖女。
決して交わらないはずの「死」と「生」が触れ合ったとき、世界を塗り替えるほどの溺愛が幕を開ける――。
一方、エルナを捨てた王国は、自分たちが溜め込んだ「自業自得の毒」に溺れ、破滅への坂道を転がり落ちていくのだった。
「今さら戻ってきてくれ?……いいえ、私はここで『死神様』を幸せにするのに忙しいのです」