あらすじ
近江屋事件で中岡とともに暗殺された坂本龍馬。
下手人は誰か?
黒幕は誰か?
伊達の性を冠しながらも、傍系に過ぎぬ東次郎に自らを喰わす縁があるわけでもなく、そもそも伊達の性を名乗るは東次郎百三十の時。
二百六十歳を超え、徳川の安寧を文字通り生き字引として見聞してきたこの男、体躯は二十歳やそこらの瑞々しさと筋力に溢れ、実父を慕ってか隻眼であるかのように眼帯を纏っている。
「坂本とは何者か?」
従者に問うたは幾ばくかの興味を惹かれたがためか。
「土佐藩の脱藩者にござります」
従者の応えにふむと首を傾げ、火鉢に燃え尽きた麻を落とした──