あらすじ

西麻布の路地裏、看板のない地下のバー。 そこには、職業に染まり、人生のどこかに囚われた客たちが、一人でやって来る。 詐欺師、ホステス、会社員、ヤクザ幹部、一般職のOL、ウェディングプランナー、看護師、教師、美容師、弁護士。 それぞれの夜は違う色を帯びている。けれど店の中は、氷の音と酒の匂いだけが静かに満ちる無色透明の空間だ。 マスターは多くを語らない。 ただ、客に合う酒を選び、濃さを変え、沈黙を整え、壁に掛かった点描画の前へ、そっと夜を導いていく。 点の集まりに、何が見えるのか。 それは今の気分ではない。 その人が長く抱えてきた囚われが、その夜だけ形を持ったものだ。 最初の一杯は職業で飲み、最後の一杯は人生で飲む。 静かな会話と余韻で綴る、連作短編。

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カクヨム
カクヨム2026/03/27
  • 現在の作品看板のないバー