あらすじ

帝国最高の頭脳集団「天文院」で若き天才と謳われた栞。しかし、嘘を許さぬ彼女の清廉な数式は、腐敗した権力者たちの醜い汚職をも無慈悲に暴き出してしまう。卑劣な罠に嵌められ、死罪の淵に立たされた彼女を救ったのは、謎めいた高貴な貴婦人の差し伸べた手だった。 帝都を追われ、命からがら辿り着いたのは、雲海に沈む最果ての観測所。 そこで栞を待っていたのは、春の陽だまりのような微笑みを湛えた先任官・美鈴。彼女は栞の傷ついた心を、重すぎるほどの献身と、逃げ場を塞ぐような甘い独占欲で包み込んでいく。 理不尽な世界に絶望し、鋼の鎧を纏った算術士の心は、美鈴がもたらす抗いがたい体温と「愛」という名の不条理な数式の前に、少しずつ、けれど確実に溶かされていく。 これは、すべてを失った孤独な天才が、地の果てで出会った「重くて尊い、極上の計算違い」に溺れていく、救済と溺愛の物語。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
小説を読もう
小説を読もう2026/03/27
  • 現在の作品天文院奇譚