あらすじ

私には前世の記憶がある。 数百年前に滅びた小国で、私はただの遠征兵団の外様者だった。歴史書にも一文字も残らない、名前もない命。最期は戦場で聖騎士と並んで、瘴気の森の崖を踏み越えた。冬の言葉を、最後まで紡げないまま。 今世では伯爵令嬢として生まれた。なのに継母に折檻され、床を磨き、お茶を注ぐ毎日だ。婚約者が姉に寝取られた時も、驚きより先に「まあ、そういうこともある」と思った。 どうせ記録にも残らない命だ。前世も今世も、似たようなものだと思っていた。 嫁ぎ先がなくなった私は、辺境伯の屋敷に奉公に出された。 そこで、青い目の男と目が合った。 心臓が、ひどく静かに、一度だけ大きく跳ねた。

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小説を読もう2026/03/27
  • 現在の作品ドアマット令嬢の婚約