あらすじ
婚約者に捨てられた照合官エルナ。
だがその裏で、王国は静かに侵されていた。
王宮のパンケーキに使う蜂蜜が、ティーンスプーン一杯だけ増えていた。
気づいた者が一人だけいた。
盟約文に紛れた、わずかな違和。
古い確定語が一つ、消えた主語が一つ。
それだけで、国境の鉱山と渡河税の裁定権が、まるごと相手国へ流れる。
なぜ見抜けたのか。なぜ彼女だけが外されたのか。
「問題は三点あります」
その指摘ひとつで、隠された思惑が暴かれていく。
「署名の位置を見るだけの仕事」と笑われた女が、一文で国を救う。