あらすじ
放課後、美術部の居残りで帰りが遅くなった結衣は、一秒でも早く帰宅しようと、普段は通らない裏路地の近道へと足を踏み入れる。
その直後、突如として発生した激しい地震により、彼女は足元を掬われアスファルトに突っ伏してしまう。激痛に耐えながら顔を上げた彼女の目に飛び込んできたのは、現代の景色が消え去り、煤を流したような灰色に染まった異界の武家屋敷だった。
そこは、音を立てることも存在を主張することも許されない、沈黙と隠蔽が支配する「秘匿」の世界。顔のない監視者たちに追い詰められた結衣は、その静寂を打ち破り現実へ生還するために、自らが心の奥底に封印していた「ある罪」を墨で書き記すことになる。