あらすじ
現代日本の地方都市・柘榴市。
中学一年生の類巣茉莉香は、かつての異常な事件を経て、別人格〈トランキライザー莉理香〉と共に静かな日常へ戻った――はずだった。だが街では、奇妙な消失が続いていた。人が死ぬわけではない。殺されるわけでもない。それでも確かに、仕事や役割、居場所を失った人々が、誰にも語られず、弔われることもなく、世界から零れ落ちていく。
茉莉香はそれを「屍人」と呼ぶ。見えない死。処理される沈黙。語ることで回収され、語らないことで消される人々。その背後で蠢くのは、死と逸脱を管理する謎の組織〈屍送り管理局〉、そして物語を終わらせるために現れる存在〈第二奏者〉。
これは、犯人を暴く物語ではない。これは、世界がどのように終わらせようとするかを暴く物語だ。そして、事件を解くのは―彼女の中にいる、もう一人の探偵。
解決ではなく、未完を選ぶミステリ。語ることも沈黙することも救いにならない世界で、それでも生き残るための物語。