あらすじ
人は二つの名を持つ。
日常を生きるための偽名と、魂に刻まれた真名。
真名を明かした瞬間、人は“本来の力”を取り戻す。
同時に、その名を知る者に支配される危険を背負う。
ーーそれが、この世界の理だ。
名前を奪う者たちがいる。
真名を呼び、意思を砕き、存在そのものを奪い去る“奪名者”。
名を失った者は、生きてはいる。
だが、もう“人間”ではない。
そんな世界で、何でも屋として生きる一人の男。
干渉されない。奪われない。
「お前は、何だ」
その異常は、世界の前提を覆す。
名前を持たない男と、すべてを見抜く少女。
交差した瞬間、物語は動き出す。
ーーこれは、“名を奪う世界”で唯一、奪われない男が、自分自身を取り戻す物語。