あらすじ
彼は秋に死んだ。湖のほとり、木の下、風が稲田を渡り、とても静かだった。
その時、誰かが彼に問うた。「まだ生きたいか」
彼は生きたくなかった。しかし、その声は言った。ある世界なら、彼がずっと求めていたものに出会えるかもしれないと。
だから彼は行った。青い星、見知らぬ星空。虚空の彼方に一振りの剣が浮かんでいた。鞘の中には、まるで星海を閉じ込めたかのような刃身。剣の中には、もうこの世にいない誰かが、ずっと待っていた。
「来たか」
彼はただ通り過ぎるだけだと思っていた。やがて、追いかけたい人ができた。長く長く追いかけて、その人が立ち止まり、振り返って彼を見た。
これで十分だと思った。
そして彼は失った。その人を、手に入れたばかりの全てを。
それでも彼は止まらなかった。あの声がこう言っていたから——
「ゆっくりでいいんだよ」
これは「得る」と「失う」の物語。何かを得て、何かを失い、それでも歩き続ける。失ったものが、いつか別のかたちで戻ってくるその日まで。