あらすじ
ここは――。
目を覚ました男は、ゆっくりと上体を起こした。
視界に飛び込んできたのは、白い、あまりにも白い空間だった。ぼやけた視界が像を結んでも、しばらくはその広さを把握できなかった。天井も壁も継ぎ目なく無機質。光は天井自体が発光しているかのように均一に降り注ぎ、影すらほとんど生まれていない。静謐で、どこか霊安室を思わせるような空気が漂っていた。
身体は、繭を縦に割ったような半円形のベッドにすっぽりと収まっていた。内側は柔らかく、体に合うように微細に形状を変え、最も負担の少ない姿勢を保つよう調整されるらしい。ついもう一度沈みたくなるような心地よさだった。近代的で合理的――男は思わず親近感を覚えた。
だが、自分の宇宙船にこんな部屋はなかった。
男は頭を垂れ、目頭を揉みながら記憶の糸を手繰り寄せ始めた。