あらすじ
1 登場人物からのメッセージ
⑴ 片山恵
「興味を持ってくれたの …… ありがと。……正直、こんな鉄錆の味ばかりする話に付き合ってくれるとは思わなかったわ。でも、あんたが観測してくれたおかげで、私の二重の輪郭は、ようやく一つの現実を見つけた気がする。……さあ、行きましょう。この、素晴らしくノイズだらけの世界を」
⑵ 彌山朔楽
「その、眼差しが、とってもあたたかかった。……私はもう、誰かに言わされた言葉じゃなくて、自分の心音で話せるよ。恵と一緒に、この不便で美味しい世界を楽しんでみるね。あんたの毎日にも、素敵な『摩擦』がありますように!」
⑶ 松永伊予香
「ふん、物好きな読者がいたもんだね。ま、あんたたちのおかげで、この鉄錆女も少しは人間らしくなったよ。もしどこか体が痛むなら、いつでも国分寺に来な。とびきり『湿度』の高い治療をしてやるからさ。……感謝してるよ」
2 あらすじ
階層都市|重東京《じゅうとうきょう》。上層『天つエリア』は国家管理AI『太極』により「最適化」され、住民は摩擦のない偽りの多幸感に浸っていた。下層『奈落』のデバッガー・|片山恵《かたやま・あや》は、視界が常にブレる視覚バグ『二重の輪郭』を抱え、鉄錆の味のする血を吐きながらシステムの不純物を消去し続けていた。
ある日、恵は銀色の髪の少女・|彌山朔楽《ややま・さくら》と出会う。彼女はシステムを再起動させるコード『アマテラス』を宿した禁忌の存在だった。管理者の|衣浦誓《きぬうら・ちか》と、記録の亡霊|村田魑朝《むらた・ちさ》による「全人類同期計画」が発動する中、恵は自らの存在を最大級の「 |不純物《ノイズ》」としてシステムへ叩き込み、不自由で愛おしい現実を奪還するために断頭台の塔へと挑む。