あらすじ

歴史が語らぬ「徳川家康」の正体。それは、地獄を歩む一人の『弟』だった。 元亀三年、十二月。三方ヶ原の泥濘(ぬかるみ)の中で、徳川家康は死んだ。 徳川の屋台骨を支える石川数正が下した、あまりに非情な決断。それは、家康と瓜二つの顔を持つ隠し弟・五郎を、身代わりに仕立てることだった。 寺で育った心優しい青年は、その日から「名前」を失い、兄の「影」となる。 兄の愛した人を遠ざけ、 兄の慈しんだ子を突き放し、 兄の正室からは「偽物」と蔑まれる。 家臣を欺き、織田信長の鋭い眼光をいなし、武田の猛攻を采配でねじ伏せる。 嘘を真実に変えるため、五郎は人間としての心を削り、冷徹な「怪物」へと変貌していく。 「数正、私は……本当に、家康になれただろうか」 これは、一人の影武者が「徳川家康」という仮面を墓場まで被り続け、戦国という盤面を塗り替えていく、孤独と執念の記録。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
小説を読もう
小説を読もう2026/03/26
  • 現在の作品『弟』〜家康は三方ヶ原で亡くなっていた。石川数正が仕掛けた徳川最大の虚構〜