あらすじ
__大正時代、華族令嬢の死をめぐって生まれた、使用人同士の濁った恋の結末。
「冬薔薇の戀(ふゆそうびのこい)」
大正浪漫の風が吹く京都。武家華族・辻本家の長女、百合子がこの世を去った。
誰もがその早すぎる死を悼む通夜の晩、庭師の蜂須吾涼(はちすごりょう)は、禁忌を犯して主の居室へと忍び込む。
そこで彼が溺れたのは、亡き主への追悼ではなく、遺された着物の残り香だった。死者に焦がれ、その衣に顔を埋める吾涼の、卑しくも切ない狂おしい姿。
しかし、その背徳的な姿を、闇の中からじっと見つめる瞳があった。
それは、吾涼に人知れず想いを寄せる女中、毒島薔子(ぶすじまそうこ)。
「お嬢様の代わりでもいい。私を見て、私を抱いて――」
懇願する薔子に、吾涼は決断をくだす。
死した主を崇拝する男と、その男の毒に自ら侵されゆく女。閉ざされた屋敷の中で、一方通行の恋はしずかに、そして泥のように濁りながら加速してゆく。
執着の果てに、ふたりが手にする濁った恋の結末とは。
※エブリスタ執筆応援キャンペーン『大正浪漫』入賞作を、コミカライズ原作向けに大幅改稿・完結させた作品です。