あらすじ

カチューシャは健気な女の子だった。 田舎から単身で奉公に出て、家族のために懸命に働くような、そんな素朴な少女だった。 彼女は奉公先で、主人の娘であるフリルとの友好を温める。 歳も近かった思春期の二人の仲は、閉鎖的な屋敷の環境も相まってどんどんと深まって行き…… ある日、フリルの好奇心で、二人は超えてはならない一線を超えてしまった。 でも、それでもよかった。 カチューシャにとってのフリルは、主人の娘というだけではない、自分の知らない世界に住まう美しいお姫様だった。 彼女はそんなフリルに愛されることに、かけがえの無い幸せを感じていた。満たされていた。 でも、二人の幸せな時間は長くは続かなかった。 主人に、フリルの両親に二人の関係がバレてしまう。 カチューシャは、娘を誑かした邪な娘として屋敷から追い出されてしまった。 カチューシャは逡巡した。そして、彼女は手を伸ばした。私と一緒に来てくれと―――― ……しかし、フリルが彼女の手を取ることはなかった。 それからのカチューシャの人生は、まるで坂を転がり落ちるリンゴだった。 樹からもがれ堕ち、下へ下へ。 坂の底へとたどり着くころには、リンゴは傷んでところどころが腐っていた。 地面に打ち捨てられたリンゴには、たかり貪る虫が沸く。 彼女はその虫を―――― 汝、殺すこと勿れ。 その昔、愛しい人から教えてもらった大事な教え。 彼女は許されない罪を犯した。 だが、そんなことはもうどうでもよかった。 もう、どうでもよかったのだ。 そんなカチューシャの元に、一人の面会人が現れる。 それはかつて自分を捨てた、あの頃と変わらない美しさを携えたまま咲き誇る、可憐な花だった。

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小説を読もう2026/03/26
  • 現在の作品フリルとカチューシャ