あらすじ
「倉田結衣です。よろしくお願いします」
三月二十八日。桜の舞い散る春の日、父の再婚によって僕に「義妹」ができた。
顔合わせで数回会っただけの、他人よりも遠い距離感。
ぎこちなさの残る食卓、果たされない約束。
そして一週間後、入学式の日に彼女は——死んだ。
絶望の淵で僕が手にしたのは、彼女の遺品となった一冊の『日記帳』。
それを抱きしめ、慟哭した瞬間に世界は一変する。
気がつくと、僕は三月二十八日の玄関に立っていた。
目の前には、死んだはずの結衣。
そして僕の手には、なぜか「未来から持ってきたはずの遺品の日記」が握られていた。
驚愕する僕の目の前で、白紙だった日記にインクが滲み出す。
それは、今この瞬間を生きる結衣が綴っているはずの、リアルタイムの言葉だった。
「今度こそ、君を救ってみせる」
しかし、運命を書き換える代償として、僕の心からは彼女との大切な記憶が少しずつ摩耗していく。
リンクする日記が繋ぐ、僕と義妹の、孤独で温かい運命改変の物語。
百回目の「初めまして」の先に、僕たちは本当の家族になれるだろうか。