あらすじ
「君の手は荒れすぎている。使用人のようだ」——五年間、病弱な婚約者のために薬膳料理を作り続けたエリーゼは、春の夜会で婚約破棄を告げられた。あかぎれだらけの手も、独自に開発した薬膳レシピも、すべては彼の命を繋ぐためだったのに。けれど涙は出なかった。むしろ心の中で、静かな炎が燃え上がる。「上等じゃない」——これからは自分のために生きよう。そう決意した翌朝、エリーゼの元に思いがけない来訪者が現れる。王宮料理長と、そして「氷の王子」と呼ばれる第二王子殿下。十七年間、何も食べられず生死の境をさまよい続けてきた孤独な王子は、なぜか彼女の薬膳だけを口にすることができて——? 献身を「恥」と呼んだ男と、「必要だ」と求めてくれる人。荒れた手が紡ぐのは、今度こそ報われる温かな物語。婚約破棄から始まる、薬膳令嬢の逆転溺愛シンデレラストーリー!