あらすじ
「その進軍、十メートルずれています。このままでは全滅しますよ?」
名門軍師家系の三男でありながら、魔力ゼロ、剣術最下位。
リシャール・ド・ルミエールは、一族の「無能」として記録係の仕事しか与えられていなかった。
だが、彼には誰にも知られていない特異な才能があった。
一度歩いた場所の距離、高低差、地質を数ミリ単位で把握する――【絶対空間把握】。
王国の最新地図が「数メートルの狂い」を含んでいることを見抜いたリシャールだったが、傲慢な騎士団長にその進言を一笑に付され、最前線の「嘆きの砦」へと追放されてしまう。
守備隊はわずか三十。対する帝国軍の精鋭は三千。
誰もが絶望する戦場に立ち、リシャールは静かに計算尺を取り出した。
「公式地図は嘘をつきますが、僕の測量(すうじ)は嘘をつきません」
脳内の地図を書き換え、敵の進軍ルートに隠された「死の座標」を導き出す。
重装騎兵を飲み込む地下水脈、音を増幅させ大軍を錯覚させる谷、夕日の反射を利用した目潰し。
魔力も武力も持たない青年が、定規一本で最強の騎士団を翻弄し、泥沼の戦況をひっくり返していく!
精密測量から始まる、鮮やかなる知略逆転ファンタジー。