あらすじ
公爵令嬢エルゼは、口にした嘘が現実になる異能「言霊の虚構」に縛られていた。
瀕死の弟を生かすため、飢える領地を救うため、彼女は自分を「悪役」に偽り、今日も甘い毒を吐き続ける。
――そんな彼女の「嘘」を、ただ一人見抜こうとする男が現れて。
公爵令嬢エルゼ・フォン・ヴァルトシュタインは、完璧な「悪役」だった。
「あなたの顔を見るだけで吐き気がしますわ」
「今日もお元気そうですわね、アル」
冷酷な蔑みも、病弱な弟への優しい言葉も。
彼女が口にすれば、世界はその「嘘」に合わせて現実を書き換えてしまう。
能力の代償として蝕まれる心身を隠し、誰にも頼らず孤独な戦いを続ける彼女の前に、第一王子ジークヴァルトが現れる。
「君の嘘だけは、甘く切ない音がする」
すべてを見透かすような黄金の瞳。
彼女が吐き捨てた嘘の裏側に、彼は何を読み取るのか。
これは、孤独な令嬢が「自分には力などない」という最大の嘘を吐き、自由を勝ち取るまでの、切なくも温かな愛の物語。